**少女小説と私 その2**

                    ・・・ サニーブルック農場のレベッカ


私が少女時代に一番なじんだ少女小説は、実は「赤毛のアン」ではなく、「少女レベッカ」でした。
アメリカの作家、ケート・ウィギンの「サニーブルック農場のレベッカ」は、子供向けに抄訳され
「少女レベッカ」というタイトルで、昭和39年偕成社から、どっしりとした装丁の本が出版されました。
少女世界文学全集の中の1冊です。
この本は小学生時代私が所有していた、たった2冊の本のうちの1つで、伯父からいただいたものでした。
ちなみにもう1冊は、ローリングス「小鹿物語」で、こちらは親からのプレゼント。
たった2冊しかなかったから、それはもう、読み込んだのなんの。
カラッカラのスポンジが水を吸うようなものです。

社会人になってから、角川文庫から出た「少女レベッカ」「レベッカの青春」を買い、それらは私の愛読書に。
作者のケート・ウィギンは、エラリー・クイーン「最後の一撃」の冒頭に、ご本人が登場します。
こんなところで出会うとは。ひょっとして、エラリー・クイーンはウィギンのファンだったのかもしれませんね。

「少女レベッカ」には、ライラックがよく登場します。
レベッカが伯母の家に行く時に、おみやげに持たされたのは、ライラックの花束でした。
レベッカがポーチでお裁縫をしていると、指ぬきがころげ落ちて、庭のライラックの茂みに、紛れ込みます。
アラジンさんに初めて出会った日には、今度は彼女自身が、ライラックの茂みにころげ落ちます。
昭和40年代、田舎の小学生にとっては、見たことも聞いたこともない花です。
ライラックって、一体、どんな花なんだろう。

その当時、名前から花の写真に行きつくには、百科事典で調べるしかなかったと思うのだけれど、
そんな方法、当時の私は、思いつきもしませんでした。
中学生になって、英語の辞書を持ち、lilac のところに挿絵を見つけて、やっと初対面です。
うわぁ、こんな形状をしているのか。気に入って自分が描く挿絵の図案に、好んで取り入れるようになりました。
ライラックは今も好きで、You Tube のハンドル名は、irislirac です。
好きなわりには、スペルを間違えています。(>。<;)

抄訳のほうの訳者、城夏子さんは、お話に出てくる石鹸会社の名を、訳さずに、エクセルショールとしていました。
だから私は、それは固有名詞であって、意味のある英語ではない、とずっと思っていたのです。
完訳の文庫本をゲットし、そちらを読んだら、「向上一途石鹸会社」という名になっていたのでびっくり。
そうか、エクセルショールとは、そういう意味だったのか!
それからさらに十数年経ったある日、街で初めてエクセルショール・カフェに出会う。
看板のスペルを声に出して読んだ時、遠い記憶が蘇る。
わぁ、レベッカに出てくる石鹸会社の名前と同じじゃないか。
それでラブソングをひとつ、作りましたけど、あまりにも少女趣味なので、現在は非公開中。(^^;)

 レベッカがお友達と遊んでいい時間帯のひとつに、夕ご飯のあと、というのがあったのが、ずっと不思議でした。
舞台のアメリカ、メーン州は高緯度だから、夏は夕ご飯の後でも、外はまだ充分に明るいんだというのを、後に知りました。
そして、2013年初夏、アイルランドを旅して、高緯度地帯の宵の明るさというものを実体験して、完全に納得した私でした。(^^)

2015年初夏、JALカードのTVCMで、ケート・ウィギンの言葉に出会う。
旅の名言「ヴァトナヨークトル篇」にて。
〜〜遠くに行くことはある種の魔法で、戻ってきた時にはすべてが変わっている〜〜

「レベッカの青春」にこれとよく似た一文があります。
「遠くへ行ってすっかり変わって帰ってくることは、素晴らしいことだわ。」
これは、学びたかったのに、家庭の事情で学校に行けなくて、治安判事の使用人をしていたアビジャー少年に
レベッカが言った言葉。
アビジャーは、その助言に力を得て、大学に進み、立派な青年になって戻ってきます。
そして彼は初恋の女性(レベッカの親友)にプロポーズするんですよ。(^^)

「赤毛のアン」シリーズでは、ほとんど善人しか出て来なくて、とても不自然。
アンの身近な人は、たとえ不遇でもいじけていないし、どうしようもない性格の人は出てきません。
身近じゃない人として、登場することはあるけれど。アトッサおばさんとか。(^^;)
「少女レベッカ」のほうでは、罪を犯す人が出て来るし、厭わしい性格をもった人も、レベッカの身近にいます。
そのほうが、作り物っぽくなく自然で、私は好き。
「日曜学校の規律では、好ましくないとされる心の在りよう」でも、おおらかに容認されてるのが好きです。


  


左、白いライラック。右は、アイルランドのボグ・ヴィレッジ。
レベッカの故郷、サニーブルック農場は、こんなところだったのでしょうか。



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